【漫画に学ぶ】子供を独りにしない 「死役所/あずみきし」
親になってから、子供が絡む話に滅法弱くなりました。
昨日発売したコミックス「死役所」でも死産した胎児の感謝の話と、親に頼れず病死してしまった少年の話が切なくて、切なくて、涙が止まりませんでした。
妻も号泣した「死役所 第8巻」の簡単なあらすじはこちらから。
自分のブログ記事を紹介する自画自賛ブロガーとは私のことです。
さて、以下は前述した「死役所 第8巻」、もしくはその紹介記事を読んで頂いた前提で話を進めさせて頂きます。
乳幼児期
乳幼児期、彼らは一人ではなにも出来ません。
それどころか、少し目を離したらあっという間に死んでしまう存在です。
死役所 第38条「理想の家族」に登場した両親も、少年が小さい頃は熱心に育児をしている様子が描かれていました。
きっと、両親のいずれか(おそらく母親)は育児休暇や、短時間勤務制度を活用しながら、子供のための時間を作っていたのだと思います。
児童期
そして時は流れ、少年は小学校へと入学します。
作品内で小数の掛け算をひっ算で解いている描写があるので、おそらく小学4年生くらいでしょう。
背伸びしているけどまだ子供、親がいないと寂しくて泣いてしまうくらいの年頃ですが、この頃には多くの企業では、短時間勤務制度も適用されなくなっています。
つまり、父親も母親も会社内でなんら特別扱いされることのない一般社員として仕事に従事しているはずです。
それが忙しくて少年との時間が取れない、という状況に繋がっているのだと分かります。
一人と独り
自分たちの仕事が忙しい。
少年は自分のことを自分で出来るようになってきた。
その結果、両親は意識的にか、無意識的にか、少年に「独り」を強要するようになっていったのです。そうしないと仕事と家庭生活のバランスが取れなかったから。
もしかすると「一人で出来ることは一人でやらせる」という教育なんだと自分たちに言い聞かせていたのかもしれません。
独りでご飯、独りで留守番、独りで・・・。
「一人でやる」ことと「独りでいる」ことは全く別物です。
少年が成長し、自分のことを一人で出来るようになったという状況に甘えているだけです。
両親の不仲も相まって、少年には決定的に愛情が不足していました。
その結果、少年は両親に甘えることが出来なくなり、独りで病気と闘い、亡くなってしまったのです。
学び
この話は、この両親が特別に子供への愛情が足りない二人というわけではない、というところがポイントだと思います。
両親共働き、という家庭が普通になってきている昨今、同じように仕事に忙殺されて子供に甘えてしまうことはその家庭にも十分に起こり得るのです。
共働きでは十分な愛情を注げないんだ、共働きはやめて専業主夫、専業主婦になろう、子供に甘えるなんてけしからん、とか言いたいわけではありません。
子供を独りにしないようにしよう
ただ、それだけです。
これは「子供に留守番をさせない」とか言っているわけではありません。
時には一人で留守番してもらったり、一人でご飯を食べてもらうこともあるでしょうが、それを当然としないことです。
一人でいることが当然になったとき、独りになるのだと思います。
もしどうしても忙しくて子供を一人にしてしまうことがあったなら、家族で居られる時間に子供にいっぱい甘えさせたい。子供が自ら親離れしていくその時までは。
息子が日常生活での介助を必要としない歳になっても、一人でなんでも出来るようになっても、決して独りにはしない、と心に誓った3月某日でした。